講義1(前期開講分) 平成29年度6回目

2017年4月27日。

昨日の午後イチは、講義1(前期開講分)の 平成29年度6回目。フレネルの公式のところを終らせ、エネルギー反射率・透過率へ。ブルースター角についても。更に、全反射のところへ。全反射は、当然、エバネッセント波とグース・ヘンヒェンシフトも(ただし、例年グース・ヘンヒェンシフトは第7回に行っていて、今年度も同様)。

前回の演習の秀逸さの影響、未だ覚めやらず。教科書では、TM偏光については磁場がy軸の負の方向を向いた図が書いてある。「流儀」に関する断りの説明を一切していないのは、ある意味で不親切、confusionである。ある意味では、間違いとも言えるので、そう解釈する学生もいるかもしれません。そんなコメントを加える。その後の講義は、良くない。「ことごとく書を信ずれば、書なきが如し」なので、教科書の内容を全て講ずることはしないが、強弱のつけ方が良くない。教科書の記述の一部をスキップするに当たって、記号・変数が少しconfusingになり、途中で修正した。また、sinとcosを逆に書いてしまい、後で訂正した。

前回、各自で宿題とした計算(添字1の方が前か、添字2の方が前か)だけでなく、それから係数をn/μにしたもの、更にそれに対して媒質1と媒質2の透磁率が等しい場合として教科書に書いてある式になることをまずサイドの黒板に書いて説明。その後に、具体的にn2/n1に数値を代入しての計算結果を示す。その箇所でブルースター角も全反射の臨界角も説明はする。もちろん、垂直入射に対して、TM偏光とTE偏光で符号が異なっていることも、再度念押し。

次にエネルギー反射率・透過率について。まず、光波の振幅は電場の振幅で現す流儀であることを再度述べた後、光強度が(屈折率)×(振幅)2に比例することの説明をポインティングベクトルSの計算に基づいた式を使って行う。電磁場のエネルギー密度に基づいた説明は、時間の都合上割愛すると述べる。当然、光束に垂直でない面を通過するエネルギー流速は、面法線nを使ってSnなので、nと光波の進行方向の単位ベクトル(波面法線)aの角度のコサインが掛って来る。時間平均を行うと係数1/2が出てくることの説明を行うが、その際に教科書の「振幅そのもものを観測できない」というところの説明をした。教科書にあるエネルギー反射率・透過率の説明に移る。エネルギー反射率については、屈折率もcosθも入射波と反射波で共通なので、振幅反射率を二乗するだけだという説明。エネルギー透過率に関しては、まず「屈折率に比例」から単に振幅透過率を二乗するだけではすまなくて、nが掛ってくると説明。次に、コサインは斜入射の効果で、入射波と反射波と違い、入射波と透過波で異なる、と言及。次にcosθiとcosθtがnとは逆になっているでしょう、と。図を描いて、斜入射の場合、斜に傾けば傾くほど境界面と光束の断面は広がり、単位面積当たりエネルギーの流れは小さくなる。と説明。

次にブルースター角。教科書では、エネルギー反射率の後で出てきていて、大抵がその順序で教えられています。つまり、TM偏光(P偏光)エネルギー反射率がゼロになる入射角という定義がされますが、既にTM偏光(P偏光)の振幅反射率がゼロになる入射角として説明済です。振幅反射率=0からブルスター角の式tanθB=n2/n1を説明します。TM偏光の振幅透過率の式の分子=0として、これを導出することもできます。しかし、大抵の教科書では、振幅透過率の式にスネルの法則を適用してn2/n1を消去した式で分母=無限大から導出しています。分母tan(θit)が無限大になるのは、θit=π/2のときですね。これと、スネルの法則の式から・・・ありきたりな説明で終り。

何とか後30分、全反射のところができる。全てはできません。幾何光学的には全反射が起きると透過波はなくなる訳ですが、マクスウェル方程式に基づいた理論では、完全にのっぺらぼうではありません。マクスウェル方程式の解としては、電磁場が存在するのです。もちろん、振動解、ある伝搬定数で伝搬する解ではありません。波動方程式を変数分離法で解いたとき、変数分離定数を-ω2とか-k2とか、負に設定しましたよね。これは、振動解を見つけたかったからです。今回は振動しない解、減衰解が出てきます。波数ベクトルの成分が虚数になることは、屁理屈ではなくて、このような物理を見ようとしているのです。kは、伝搬定数ではなくて、減衰定数という意味なります。・・・最後は時間切れで、「マイナスの方は、exp(-z/d)で減衰する形ですね。エバネッセント波といいます。減衰距離dは入射角に依存することは直ぐにわかりますが、分散関係を用いて波数kを使って書き換えてから、更に波長で書き換えれば、dが波長程度の距離であることがわかります。」で終了。