導入教育/創造科目 平成28年度1ラウンド目第3回

2016年11月4日

本日の導入科目の私の担当分の3回目は、PERT法の演習を行いました。もちろん、極簡単なものです。本格的な理論を理解していないとできないものは、私の手に負えませんので。プロジェクトマネジメント手法のうち、今まではブレインストーミングKJ法を行っていました。これの試行を始めたのは、「本年度」から一年生の前期の導入科目でそれを行う計画が見えたからでしたが、やっと実現しました。そこで、プロジェクトマネジメント手法のうちのPERT法を行うことにしたのでした。

これで第二ラウンドまで導入科目の担当はなし。第二ラウンドは12月からですが、第一ラウンドの経験により、少しは楽になるでしょう。計算機実習のもうひとつの課題も12月の下旬に入ってからです。これで、査読、招待論文、高校への出張講義のための「こころの余裕」ができる。「PERT法の経験があって、乗り切れた!」

国立大学法人理学部長会議声明

2016年11月3日

データを持ち帰って、自宅で仕事をする積りが、一部のデータをコピーし忘れていて、出勤。

ふと、「国立大学法人理学部長会議からの基礎科学の推進に関する声明」なるものが出されていることを知る。理学部長会議の大もとのページをリンクしたかったが、見つからないので、検索でヒットした一番上のものを。

国立大学法人理学部長会議、基礎科学の推進に関する声明を発表 | マイナビニュース

基礎科学の重要性を訴えることは、すばらしい。ネット検索すると、多くの大学が大学のホームページに挙げている。

しかし、大きな違和感がある。知的探求ここそが知的生命体たる由縁の活動。「いつか役に立つ」から基礎科学を行うのではない。結果として「いつか役に立つ」はず、なのはOK。「いつか役に立つ」が目的だと誤解されないように。それだと、役に立つことを目的とした研究と、理念として同じになってしまう。もちろん、企業経営の観点から見ると、5年先にしか実用の目処がない研究なんて「いつか役に立つ『基礎研究』」と同じ、というような実情は分かっていることです。

計算機実習 平成28年度その1の第5回目

2016年11月2日

昨日は、計算機実習のイジング模型の課題の5回目で最後。進度合がよくないので、二次元イジング模型の相転移点を見積もる課題がこなせるところまでいけるのか心配だったが、なんと!!!エネルギーの揺らぎ<(E-<E>)2>をK=J/KBTに対してプロットするとところまで行ってしまった学生あり。少し統計処理にミスがあって、相転移点で<(E-<E>)2>が最大になる結果には至らなかった。しかし、速攻でそれをやるためのデータ処理をエクセルでやろうとするのには、感心。この学生は例外で、いわゆるクエンチのシミュレーションから次へ進めない学生が多数のよう。

さて、今日は委員会に出席して資料を見て、言葉を失うくらいたまげた。事前に言葉を失う対応があったので、その時点で言葉を失う過程は経てい。従って、委員会で言葉を失ってしまって、ものが言えないことは避けられたが・・・。それを書いたら、何をされたかを書いたら・・・転覆でしょうな。

計算機実習 平成28年度その1の第4回目

2016年10月27日

昨日の計算機実習では、高校生の体験入学を受け入れました。

既に分かっていたことなので、「学生には有限温度のイジング模型のモンテカルロシミュレーションを完成させるのを、高校生に見せましょう」と伝えてある。しかし、できなかった。クエンチ相当のシミュレーションは2人が高校生のいる間に何とか完成させた。ここで、クエンチ相当と言ったのは、エネルギーが下がる方向のみに状態発展させるシミュレーション。熱揺らぎがないので、直線状の"界面"を介して相分離が起きた状態になると、それ以上変化しない。

高校生向けに解説のプリントを準備した。もちろん、3年生の授業の体験入学だから、高校生には難しい用語は含まれている。しかし、ボルツマン因子は一切出していないし、熱振動という言葉を使ってエントロピーからは逃げた。それでも、予想した通り、やはり難しかったよう。イジング模型は、磁性体以外に合金の模型であるということは、是非知って欲くて、プリントには書いた。高校生の興味を引くために、コロイド結晶の実物を見せた(これは、助教の先生の提案)。振ってコロイド結晶を壊して、静置するとイリデッセンスが見えること実際に体験させた。プリントには、○と●がランダムに交じり合った状態と○または●ばかりの状態が、液体と結晶に似てることを記すとともに、「実はイジング模型は固液相転移の模型ではなく、気液相転移の模型である」と記述した。

さて、本日は昨年度のM2の学生が筆頭著者の論文のリバイスにやっと掛かれる。あまり疲れた状態だと、typoの類が満載になってしまう。査読者がtypo満載の第1稿に辟易していることが伺える。

導入教育/創造科目 平成28年度1ラウンド目第2回

2016年10月21日

本日の内容は、昨年度まで行っていたものと同じ。ただし、やり方を「演習」ぽくした。つまり、宿題とせずに、その場で穴埋め式の「演習」を解いて、答を出すようにした。内容は、乾燥コロイド結晶の色からコロイド粒子の粒径を見積もるもの。

TAがいないところ、化学合成系の研究グループの(取りまとめの先生の)学生がボランティアで助けてくれ、また計算機実習のテーマを一緒に担当している先生と今年度から同じグループになったところの先生が助けてくれました。TAなしで教員1+技術職員2で行うのは、大きな負担で、完全な「人員配置ミス」です。取りまとめの先生とかの責任を問うようなものではありませんが、このような「ウェット」なやり方は、私の感覚とマッチするところで、非常に助かります。

今回は事前に名簿/グループ分けを済ましていたにもかかわらず、リストから抜ける学生が出たことは「不思議」。お陰で、班の数が11とひとつ増え、駒込+ピペットが一組不足することに。コロイド分散液のサンプルは、全く異なる事情でひとつ追加したので、ちょうど11個。

スライドガラスの上でコロイド分散液を乾燥させるのに時間が掛かるのは、今までの毛経験で分かっている。そこで、まず、手引書+穴埋めの計算シートと配布し、スライドガラス上に分散液を垂らすことをやらせる。もちろん、液が厚すぎると乾燥に1時間以上掛かるので、私と技術職員の方2名を中心に適当な分散液の厚さの指導をして回る。適宜水を差して濃度の調整も行う。

乾燥させながら、光の色と波長、ブラッグ反射、面心立方格子の話をする。光の色と波長については、「ま、こんなもんです」って感じ。ブラッグ反射については、高校の物理でやっているでしょう、という問い掛けから。光の場合、面間隔dに屈折率nが掛かっているのが違い。これは、屈折率nの媒質中では、定規で測った長さにnを掛けたものが光にとっての長さ(光路長)になる、と説明。面心立方格子は、高校の化学でやっているでしょう、と。お互いにグループの中で教え合って下さい。それで不十分ならば、助けに来てくれている先生が教えてくれます。と。

濡れの悪いケースに対して、悪戦苦闘して乾燥コロイド結晶を作製し、反射される色の観察まで持っていった班は、それなりに「困難解決」の満足感はあったよう。

最終的には、半分くらいの班から「粒子径がいくついくつになりました」というのを言ってもらい、黒板に表を作ることができた。例年は、宿題にしていたが、それに比べ「よくできた」、という感じ。スペクトロメーターを使っていないから、どの値が正解だ、というのはなく、成功です。

計算機実習 平成28年度その1の第3回目

2016年10月20日

もう、10月も下旬に入るんだ!

昨日は、計算機実習の3回目。この回の最初に周期境界条件を課した場合の2次元イジング模型のエネルギー計算を終え、この回はクエンチに相当するシミュレーションまで完成させるよう、前回話していた。もっと具体的には、来週は高校生が体験入学に来るから、そのときに有限温度のシミュレーションを完成させるのを見せましょう、と前からアナウンスしていました。σ=±1の2次元配列から一点をランダムに選び、±1を反転させ、反転させる前と後でエネルギーを比較する。エネルギーが下がるようなら反転させた配列を次の「時間」の状態とし、あがるようならば状態を変えない、というシミュレーションを完成させてもらう積もりでした。

今回は、助教の先生と二人で対応。助教の先生も、昨年度よりもできない、という印象を抱いた。どうしようもないものは毎年度いるので仕方ない。次のような学生は毎年度いるが、なぜか印象に残る。エネルギーの計算のブロックなど、部分的には完成している。しかし、「先生、配列を複数回作っているうち、どうして最後の配列についてしかエネルギーの計算がされないんですか」という質問が来る。それは、最後に配列を作った後に、その配列についてエネルギーを計算するようにループを回しているから。その学生は、forループ終了後にカウンター変数の値がいくつになっているかなどを自分で追える学生。フローチャートを書いたら解決するよ、とアドバイスはして見る。

さて、来週はクエンチのシミュレーションを完成させるのを高校生に見せるのでもいいかな、という気になって来た。

先週末に論文の査読結果が返ってきたが、私にとって、一人の人間が処理できる文字数の1日の量を超えている毎日なので、対応できず。共著者の先生に相談し、英文校閲業者にスペルチェックを依頼することに決定。これは、原稿を作成したLaTexの辞書がカスタマイズされいなから。今のLaTeXは、スペルチェック機能がある。少し前は、スペルチェック機能のないエディターでLaTeXソースコードを作る形。つまり、ソースコードワープロで開いてチェックするものだった。中途半端にしかカスタマイズされていない辞書のワープロでスペルチェックを行うと、「ブリティッシュ綴りとアメリカン綴りが混在して、改悪」のような状況になり兼ねない。

ハム事情

2016年10月17日

私は材料系の大学教員です。7年程の間、情報系の経理グループに所属していました。もちろん、大講座は材料系のままです。平成28年度の理工学部改組に際し、そのねじれが解消されました。

先週末に4階から2階へ教員室を移動しました。大講座は変わらないのに(理工学部改組に当たって名称だけ変更)、経理グループが変わったら教員室が変わるというのは、ヘンな話にも見えます。経理グループが予算・資産管理を行うところで、大講座が研究・教育の区分だということから納得できるでしょうか。

さて、かって創製教育関連のセンターの教員を兼担していたころ、そのセンターの名前を関した無線クラブを立ち上げました。今は実質活動してません。そのクラブで使用していたアマチュア無線のアンテナの残骸、教員室の外のベランダにおいていたもの、処分することにしました。

ハムショップへ行ったところ、今は6m(50MHz帯)はもっとも需要のないところだ、とのことでした。かつての、6mだったら1本や2本部品が欠落いていても、アンテナ欲しい、言う頃とは違う、と。6mの八木型のアンテナ(正確にはロングジョーン)は、アルミ材として再利用してもらうように、技術職員の方に渡しました。CL6DX、ネットで調べると3万円くらいですね。7メガ(7MHz帯)は、移動運用する人から需要がある。ただ、フルサイズでなくて短縮ダイポール(DP)を使う、とのこと。

7メガのフルサイズDPを張っていた物干し竿も、ステンレス材として再利用してもらうことにしました。新品の物干し竿は、物干し竿として貰い手を探しています。

経理グループが予算・資産管理を行うところで、大講座が研究・教育の区分というのが正しく運用されていたら、過労死し掛けて免疫系が壊れてしまう(自己免疫疾患=膠原病)にも至らなかったでしょう。過労死の待ち受けている職場の状況をどうにかしたくて、もがいたいました。そのひとつが無線。第一級陸上無線技術士というプロの資格によって、トラバーユできる期待も持ちました。無線工学や電波法規の授業担当教員として抜け出すことができないかという期待も持ちました。

「情報系のグループ所属の教員が材料系の研究教育を行っている」という風当たりの中、つまり自分の居場所のない中、自分が科学に興味を抱いた最初のひとつであるハムを学生に経験させる、ということで、身の置き場所となっていた。今はVoIP(Voice on Inertnet Protocol)で144/430MHzで、あるいはインターネット経由でアンテナを立てなくても無線ができる、というハムショップの店主の言葉。「自分が物干し竿アンテナの科学入門を行ったことを学生に経験させたい」というのは、老人の独りよがりなのか?