講義2 平成29年度 第15回目

2017年7月28日。

さて、後は試験を残すのみ。ですが、本日回収した演習の採点をしなければならない。次回は、基本知識や定義などを問う試験を行い、その後に試験の解説および演習の解説・講評を行う。行間を時間を掛けて読むには、時間的な制限がある。講義は、沸点上昇と凝固点降下、浸透圧、活量。

沸点上昇のところでは、いいミスをやってしまった。つまり、レポート課題では、問題を解くのに先立ってギブス・デュエム関係式を書き下すことを指示しているが、講義では横着をやって書かずに、(化学ポテンシャルの(モルギブスエネルギーの))温度微分に対する熱力学関係式を圧力微分に対するものに誤ってしまった。こういうのは一長一短で、「俺も暗算」を助長することもあるが、蓋を開けてみなければわからない。Pを残したまま式変形を行ったのは、ラウールの法則に基づいて飽和蒸気圧の降下として計算をしてから、クラペイロン・クラウジウスの係数を掛けて沸点上昇に変換するやりかたの説明もしたから。凝固点降下については、少しだけ式を書いて「同様に」で済ます。ただし、純粋溶媒の凝固点Tfと希薄溶液の凝固点T'fについて、化学熱力学の慣例に従い、ΔTf=T'f-Tfとすうるか、ΔTfは負となるので、T'f=Tf+ΔTf=Tf-|ΔTf|と書くか、教科書のように、ΔTfにマイナスをつけて定義してもいい、と補足。

浸透圧πは、まず純粋溶媒の圧力Pと溶液の圧力P+πとして定義。その後、πに関して展開を行い、πV=n溶質RTまでを導出。このとき、希薄溶液であることに基づいた近似を行ったことは、明記。希薄溶液の近似を使っているので、モル濃度をcとして(c=n溶質/Vなので)、π/c=RT+Ac+Bc2・・・とcの一次、二次・・・の項が加わることにはグラフの概略を書いて言及。分子量が求まることについては、言っただけ。

最後に活量(アクティビティ)。フガシティーと同様にRT ln xの形にこだわるやり方と説明。非理想溶液ではRT ln xは成り立たないので、無理やりRT ln a(x)の形にした。ラウールベースとヘンリーベースの二通りがある。平衡の問題は、化学ポテンシャルでやればいいので、本質的なことはない。皆さんは物理を取っているので、そう思うでしょう。しかし、RT lnの形にこだわる化学の人たちと会話ができければなりません。言葉(用語)の問題なので、フガシティーとアクティビティーの一方または両方を試験に出します。どんな形で出すかは、まだ決めていません。