講義2 平成29年度 第13回目

2017年7月21日。

ここのところ右手の指がこわばったり、左手首が痛かったりということが繰り返されてましたが、本日は左膝が笑っています。朝には右腰に湿布をして出掛けたのですが、講義前には左膝にも湿布をしました。

前回やり忘れた演習を講義の開始時に行うと宣言していたもかかわらず、誰も手を挙げない。仕方なので、レポートにする問題を決めて講義へ入ることに。本日は、理想溶液とラウールの法則。

理想溶液は、それに先立って固溶体=合金=混晶の話を。理想溶液に関係してくるのは、置換型合金。理想混合気体で混合の内部エネルギー変化と混合の体積変化がゼロなのは、分子の大きさと分子間相互作用が無視できるから。混合のエントロピーのみが生じる。原子の大きさがほぼ等しいときに置換型の合金となる。少し不十分で、二種類の成分(AおよびB)の混合の場合、例えばA-AおよびB-Bの相互作用に較べて、A-Bの相互作用が大きい場合、反発しあって混合しない、合金にならない、ということが生じる。理想的に大きさが等しくて相互作用も等しければ、混合の内部エネルギー変化も混合の体積変化もゼロとなり、混合のエントロピーのみが残る。これが理想固溶体。液体の溶液の場合は、平均粒子間距離などということになるので、もう少しゆるい条件で理想性が出てくる。

ラウールの法則は、理想混合溶液と理想混合気体の平衡の条件に対するもの。全章は化学平衡が主題だったが、本章は相平衡が主題。n成分系における液体と気体の相平衡を扱う。温度T、圧力Pの下で気液が平衡にあった場合、組成の間にはどんな関係が成り立つか、と言う問題。化学ポテンシャルが等しい式を書き、それを変形してラウールの法則を導く。私が講義をするんだから、この教科書やもっとわかりやすく書いてある教科書にも載っていない、「ラウールの法則が成り立つためには、この近似が必要ですよ」ってのをやる。最初に「これ」ってやった方がいいかもしれないが、寝とるひとがおるので、出し惜しみをします。で、順にpi=p*xi(l)までやる。

10分位余ったが、演習はやらずに、質問の時間に。実はその前に、1年生の授業で光重合によるゲル化、乾燥コロイド結晶の(色)の観察をやりましたね。私の専門はゲルとかコロイドです。液体は非圧縮性の近似が良く成り立ちます。しかし、非圧縮性の近似と化学ポテンシャルが圧力依存性を持たないことは、別のことです。ゲルだと圧縮性に対する扱いが重要そうなのは想像できますね。コロイドは、溶液ではりません。コロイド粒子が分散しているだけで、溶媒和を作りませんので、体積変化はありません。コロイド分散液の方が、化学ポテンシャルの圧力依存性をどう扱うかは重要な問題です。