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講義2 平成27年度13回目

2015年7月22日。

理想溶液とラウールの法則。その前に、前回クラペイロンの式について時間ギリギリでやったので、それについて軽く補足を(気分的なものですが)。氷のキューブ二つを圧縮してくつける話から。これでは、小中学校の話ですね。シリコンがクラペイロンの係数が負なんですよ。つまり、シリコンの融液にシリコンの結晶は浮くんですね。重要な物質にこのように例外的なものがいくつかあります。

開始時にしようと思った雑談は、理想溶液のところに挟むことに。理想溶液は英語でideal solitionといいますが、ここのsolutionはliquid solution溶液とsolid solution固溶体の両方を含みます。金属の分野では合金とっているものは、一般には固溶体と呼ばれます。金属以外に半導体もを含みますが、コロイドとかゲルも含まれます。既に話した例は、InGaNの組成不均一性の制御のためにの擬二元系(InN)x(GaN)1-xの混晶相図(x-T図)です。実は、新入生に対するアンケート結果の中に「当学科が第一志望である学生が少数である」ことを示すののがありました。相図の例で言えば、相図一般の色彩を強くした方がいいのでしょうか、あるいは特定の機能発現に特化する話をして興味を持たせるようにした方がいいのでしょうか? 私の専門はコロイドなどを中心とするソフトマターなので、金属や半導体に限定せずに、一般的な側面を強くしています。コロイドフォトニック結晶などの機能性材料の色彩を強くすることに考えられます。コロイド粒子は光の波長と同じ程度なので、結晶面による反射に基づく後退波と前進波の干渉を利用して「光絶縁体」と作成することができます。相図は、フォトニック結晶の性質向上のために欠かせません。

理想気体について、混合のエントロピーの効果 ln x になじませるように進めているので、化学ポテンシャルの表式はそんなにくどくやらない。どんな場合に混合による体積変化や内部エネルギー変化が無視できるのかを例を交えて述べる。置換型合金の模式図を出す格好の機会(相図のところでは、詳細は割愛した)。混合による体積変化、内部エネルギー変化が無視できる場合に、理想溶液の近似が成り立ちます。前者は、異なる成分間で分子の大きさが同じだという説明を。後者については、AA、BB、ABのボンドエネルギーを定義してΔφ= φAB-(φAABB)/2がゼロの場合に成り立つことを、図を交えながら説明。

ラウールの法則は、理想溶液と理想混合気体の相平衡の問題であることを明言。つまり、質量作用の法則も平衡条件を求めるものだったが、ラウールの法則も同様。ただし、前者は化学平衡で、後者は相平衡。その意味で、クラペイロンの式と同類。オーソドックスに進めるが、私ならではの事項を必ず入れるようにしている。それは、純物質の液体の化学ポテンシャルの圧力依存性を無視することを明言すること。Pを理想混合気体と理想溶液の温度Tでの平衡の全圧、Pi0を純物質iの温度Tでの飽和蒸気圧として、μi*(l)(T,P) = μi*(l)(T,Pi0)と近似すると、Pi0が純物質iの飽和蒸気圧であることから、μi*(l)(T,Pi0) = μi*(g)(T,Pi0)となるのでexp[(μi*(l)(T,P)-μi*(g)(T,Pi0))/RT] = 1。多くの教科書には、それが明記してない。

付随するサービスとして、液体の化学ポテンシャルの圧力依存性を無視する近似を改善することは、直ぐにできますね。皆さんでもできますよね。それ自体に特別の新規性はないのですが、重要な物質について「近似を挙げることにより、キーとなる現象の説明に成功した」などとなれば、成果ですよ。