講義2 平成27年度6回目

2015年6月25日。

カルノーの定理、クラウジウスの式(不等式です)をやった後にエントロピーの定義を行なう。可逆サイクルにおいて、高温熱源から流入する熱と低温熱源へ流出する熱を使っての「熱力学的温度」は、最近はごく軽くしか行っていない。今回も同様。

その前に・・・前回の演習の前にに「演習問題は、誰が板書するですか」(そんなもの、演習問題を解いた者が板書して説明をするに決まっているのに「先生、ノートに演習問題は解いて来たので、先生が板書と説明をして下さい」ってことを考えているのか)というのがあった。従って、演習のレポートには、科目名(年度の書いて欲しい)、何のレポートか(出題日とか講義のパート◯の演習であるとか)、学年(と学生番号)と氏名等を明記して、教員が整理する時に支障を生じない様に、と言わなければ。行間を埋めないと採点に支障があること、self-containedな構成にしてくれないと採点に支障があることも言いたかったが、言わずじまい。間違った答を写して、例えば「手に覚えがあって、(coshx)'=-sinhxと書いていしまう(正しくは、(cosx)'=-sinxや(coshx)'=sinhx)」というような弊害に至らないようには、わざわざ黒板を使って言った。

実は、その前の前に「大学に授業には公欠はない」という話をした。

カルノーの定理のところ。まずは、可逆サイクルについて再度念押し。トムソンの原理↔カルノーの定理、クラウジウスの定理↔カルノーの定理のうち、後者は教科書に説明がある。そのエッセンスを蓮。前者の説明を行なう積りが、これもエッセンスアだけで済ました。「レポートは、どんな感じのものがいいですか? トムソン↔クラウジウスや今やった様な、異なる表現の第二法則の等価性を証明する『論理学』の様なものがいいですか? それとも計算問題、エントロピーの計算がいいですか?」と問い掛け。当然、計算がどの程度のものかわからないので、無反応。

熱力学的温度を軽く済ませて、クラウジウスの式へ。まずはカルノーの定理の後半から得られる不等式を「系に(熱)エネルギーが入る方向を正」に定義し直して書き直す。その後、熱源が複数ある場合に拡張し、最後は温度が連続的に変化する場合の表現に至る。

「新しい量としてエントロピーを定義します」がいつもやっていること。不可逆性の統一的なバロメーターだ! 不完全微分である熱d'qを完全微分にするための積分因子1/T(積分分母T)なんてのは、補足事項としておく。周回積分がゼロになること(第一法則の最初のところでやったこと思い出して下さいね)から、新しい状態量が定義できることが示唆されますね。「俺は、新しい量『エントロピー』を学んだ。」という姿勢でいい。「これからそれをやるから、寝とる人起きて」に、起きん奴がおる。エントロピーを用いてクラウジウスの式を書き換える事ができて、また別の第二法則の表現になる。クラウジウスの式をエントロピーを用いて書き換えた後で孤立系に限定して、「エントロピー増大則」に至る。その重要性(限定してまで、その表現にする理由)は説明は強調して行なう。正のエントロピー生成という概念には導かないし、ましてソースタームを導入したエントロピーバランスの式 ∂ρs/∂t + ∇・jssは。