講義2 平成27年度4回目

2015年6月19日。

もう4回目なんだ。もう十数年前のことだろうか、「先生の講義には、ワクワクして出ています。たまにうたた寝しているときにみんなの笑い声が聞こえると、『しまった、聞き逃した』と、うたた寝をしている時に『ロン』ってやられたときの気分になります」ってコメントしてくれた学生がいました。今年度は、その雰囲気があって、嬉しい。

時系列順ではありませんが、「『熱力学の計算は、微分ばっか』って印象を抱いたんではないでしょうか? 統計力学では、積分ばっか、って印象ですよ。」というガイド。これは、(∂z/∂x)w = (∂z/∂x)y + (∂z/∂y)x(∂y/∂x)wの公式の導入でもある。今年は、「熱力学では、∂f(x,y)/∂xのことを(∂f/∂x)yと表現する」と説明(もちろん、例年通り「実験的にコントロールできる量がVであるときの内部エネルギーUの温度変化にに対する変化率が(∂U/∂T)Pだ」ということも忘れない)。この公式の適用例として、前回の「熱容量」のところの一部であるが、CP-CV = [P + (∂U/∂V)T](∂V/∂T)Pをやる。

理想気体の内部エネルギーに関するジュールの法則のところ、気体分子運動論の拡張なんですね。私は、「凍結された自由度」という概念を必ず紹介するようにしている。Mayerの式は、いい例題ですね。具体性もあっていい。

アクセントとして、気体の入ったピストン付きの容器のピストンに重りを追加して行く、準静的過程の例に再度触れる。もっと、難しい話の合間に入れたため、重りを追加する思考実験で「失敗したら、追加する重りの重さを減らして再挑戦」でどつぼにハマる話は、全く受けなかった。相変化を準静的に起こすとか、反応や燃焼を準静的に起こす、というのも同様。

潜熱のところ。これも、準静的変化を挟むのが、アクセントとしていい。反応熱のところも同様であるが、一緒に話してしまうのが良いだろう。時間の都合、あるいは教員の勝手かもしれない。「標準状態」は、さらっと流す。生成熱も。ヘスの法則と熱容量の温度依存性を表すキルヒホッフの式も。

理想気体の断熱変化のポアソンの式は、「エネルギー保存則という既存の概念で理解できる第一法則の範囲内で『有益な関係式が出てくるんだ』」というものなので、すこし丁寧に(十分な丁寧さで出来るだけの時間的余裕がなかったのは、反省)。