講義1(後期開講分) 平成29年度15回目

2017年11月21日。

夕方に講義1。屈折率楕円体、1軸性(複屈折)媒質と2軸性(複屈折)媒質、結晶系と光学異性、偏光素子が内容。

屈折率楕円体を使って二つの屈折率を求める作図に先立ち、フレネルの法線方程式にもとづいて異方性媒質中では屈折率nの解が二つあることを説明。波面法線ベクトルを屈折率楕円体の中心から書き入れ、それに垂直な面と屈折率楕円体の交線を描いて、交線の楕円の長軸と短軸がその二つの屈折率に相当することを説明。

次に再び法線方程式に戻って、まず等方性の説明。次いで、1軸性の説明。ポイントは、「解の一つが常光(伝搬方向に依存しない)でもう一つが異常光(伝搬方向に依存する)」ではなく、二つの解に相当する交線が一致する伝搬方向が一つ、ということ。複屈折性媒質中では、二つの解が一致する方向を光学軸と呼んでいて、光学軸が1本の場合を一軸性と呼ぶ。すると光学軸が2本の場合が二軸性というのは自然に繋がる。三軸性はないということだ言うだけ。一軸性の説明として、屈折率楕円体と波面法線ベクトルに垂直な面の交線が円になるのが、波面法線ベクトルが光学軸と一致したときだというのを加える。そうして、二軸性では断面が円になるような方向が二つあるという説明を。

結晶系と一軸性・二軸性の関係の説明もまずは等方性から。立方晶が等方性になることを、説明なしに言ってから、単位格子を描いて、それが立方体になることを説明。一軸性の説明に先立って、格子パラメータの説明を。まず、一つの方向だけ対象性がずれているものとして、a=b≠c、α=β=γ=90°の正方晶を例に。底面が正方形でc軸方向に延びたり縮んだりしたものとの説明。すると、三方晶が底面が正三角形で、六方晶が底面が正六角形であることもスムース。c軸は底面に垂直(γ=90°)で、それが「方」の意味するところ。対称性の異なった方向のc軸が光学軸となる。次に二軸性結晶に進むが、最初は斜方晶。a≠b≠c、α=β=γ=90°と各結晶軸の対称性が敗れたのが一番目で、この場合は結晶軸と誘電主軸が一致する。底面とc軸が傾いたの(γ≠90°)が単斜晶で、全ての結晶軸が傾いたのが三斜晶。これらの場合は、誘電主軸と結晶軸はもはや一致するとは限らない。結晶学では、単位格子が正菱面体となる特別な場合を区別するが、結晶光学ではいいでしょう。

偏光素子は、まずワイヤーグリッド偏光子から。ブルースター角を使って直線偏光を作っていては、光学系の調整が大変というイントロを先置き。位相板には、フレネルの菱面体を使っていては、素子が大きくなる。もちろん、フレネルの菱面体のメリットはあるが、と言う前置き。異方性媒質を主軸に沿って切り出して、と言って図を描く。媒質の厚みをd

時間がなくて偏光プリズムの話はできなかった。二軸性の説明は大幅に省略しているのに5分オーバー。学科事務室での採点済みレポートのコピーの返却の準備が遅れて、受け取れないとの訴えがあったことについて、TAが昨日中に準備をしてくれたことだけ言えば良かったのかも知れない。そのTAの学年(昨年度の4年=今のM1)の雰囲気を話して、笑いを取るなんてやらなければ良かった。