講義1(後期開講分) 平成29年度12回目

2017年11月13日。

朝は寒いが、暖房が効いた講義終了時は汗だく。朝イチに講義1(後期)の12回目。最初に演習をやる旨宣言しておいただ、結局問題を演習のレポートの問題決めただけ。終了時に「演習問題を下さい」が多数。あ、これでは演習は成り立たない。演習をとの宣言を聞いた時点で、演習問題を受け取っていない者は、もらいに着て欲しかった。

今回と次回は1次元のフラウンホーファー回折。まずは、-a<ξ<aの部分が開口が開いている単スリット。ξは開口面上の位置を表す変数(積分変数)。開口面から距離R離れた観測面上の位置xにおける振幅u(x) = -2a sinc[(2πa/λR)x]を積分を実行して導出する際に、つまらないミス。積分変数はξと強調しているにもかかわらず、xに-aおよびaを代入してしまていて、あとで訂正(sincの前に2aが掛ることも省略)。答が出たら、まずsinc(0)=1の説明。次いでu(x)/u(0)をxの関数として描く。X≠0の場合は、X=mπ(m:整数、ただしm≠0)でsinc(X)=0となることから、x=0でu(x)/u(0)=1に次いで、u(x)のゼロ点を描き、式を書き入れる。それに基づいて暗線位置xm = m(λR/2a) =m (λR/d)と暗線間隔Δx = xm+1 - xm = λR/2a = λR/dを説明。d=2aはスリット幅。xmに対応したθm、Δxに対応したΔθを用いた表現への書き換えを行う(既に先週にx/R = tanθ(θは光軸から観測点xを見たときの角)は説明済)。|θm|<<1および|Δθ|<<1も出し、「高校で習ったことのある形でしょう」と。その説明をする前に、明線についてすこし説明しておきます。xあるいはX=(2πa/λR)xが大きな場合は、mをm+1/2にした場合が近似的に明線位置となります。従ってその場合は、明線間隔は近似的に暗線間隔と同じになります。xあるいはXが小さい場合は、それからずれてきます。正確には、u(x) = -2a sinc[(2πa/λR)x]を微分して、極大極小を求めれば答は得られます。明線間隔はΔx = λR/dより広くなります。Δθ≒λ/dについて、「これが回折の広がりを表す量です。回折角と呼ばれることもあります。」と説明(「λが大きくなると回折の広がりは大きくなる、スリット幅が小さくなると回折の広がりは大きくなる」は説明し忘れたので、明日)。その後、これは回折の広がりの大きさを表す量ですが、暗線の間隔に対応した角であり、中心から離れた位置の近似的な明線の間隔に対応した角であることを忘れてはいけません、と注。中心x=0から第1ゼロ点を見たときの角度ですが、間違って第1次回折光の角度と書いてある教科書もあります。また、第0次回折光自体を利用しようとした場合に、u(x)の半値全幅が本質的になる場合がありますが、それとは一致しません。

二重スリットによる干渉の話を。もちろん、最初はスリット幅の効果が無視できる場合。どんな近似の元での計算かを説明しあと、一方のスリットを通過した光波の振幅u1(x)ともう一方スリットを通過した光波の振幅u2(x)の和として観測点での振幅u(x)を計算。スリットの中心位置をξ=-bとξ=bとして、u(x)=2exp[2πi(R+x2/R)/λ] cos[(2πb/λR)x]。これに基づいて、明線位置が単スリットによる回折の暗線位置に対応することを説明。その後、暗線位置についても説明する。明線位置でm=0が除外されないことは些細なことで、位置に寄らずに暗線間隔が等間隔であることが違いだと強調。また、高校では明線位置や暗線位置を「二つのスリットを通過した光波の光路差がλの整数倍や整数プラス1/2倍」として計算したが、大学では任意の位置でも振幅を求めていることにも言及。

二重スリットによる回折は、少し時間不足。一つ目のスリットの中心位置をξ=0、もう一つをξ=2bと座標の原点をずらした座標系で計算をし、u(x)=2exp[2pπi(b/λR)x] cos[2pπ(b/λR)x] u1(x)を導出(u1(x) = -2a sinc[(2πa/λR)x]は、幅d=2aの単スリットによる回折の振幅)。u1(x)の包絡線の中にcos[2pπ(b/λR)x]微細構造が現れるという説明で終り。次回はN重スリットをやるので、その前に二重スリットによる回折の幾何学的な説明をします、と。

それ以外に、レポート課題を印刷配布する準備もしなければならない。