講義1(後期開講分) 平成29年度8回目

2017年10月30日。

本日の朝イチは、講義1の8回目で目標2。目標1の試験は来週の火曜。目標2は回折をやった後に複屈折の話を少し。

初回は、回折とは何かというイントロをレーザー光の回折のデモンストレーションを交えて行った後、グリーンの定理から出発し、ヘルムホルツ・キルヒホッフの積分定理まで。イントロダクションとしては、ホイヘンスの原理についても話す。回折理論がホイヘンスの原理の欠点を解決するものであることも述べる。スカラー波近似を行った扱いをするので、波動一般の話しである注も。数学的には、波動方程式の境界値問題を解くという問題設定も。これには、開口面上での振幅が与えられたとき、観測面上での振幅を求める問題設定の図も。

グリーンの定理はいつも通り。その後、時間的には定常振動しているとして、複素振幅U(x,y,z;t) = u(x,y,z) exp(iωt)が波動方程式に従うときに、複素振幅の空間依存部分u(x,y,z)がヘルムホルツ方程式2u+k2u=0に従うことを示す。問題を「開口面で開口の形によって定められる振幅uが与えられたとき、観測面における振幅uを求める」と言い換える。その後はいつも通りに、観測点P(0,0,0)が表面Sで囲まれる領域内にあるとして問題を設定し直し、さらにグリーンの定理を適用する表面として「外側の表面Sと点Pを中心とする半径Rの球殻の内面S'」とし、領域として表面Sで囲まれる領域から球殻内部を除いたものとする。ポイントは、表面S'の法線ベクトルは、中心P方向を向くこと。つまり、表面S'上での方向微分は、rで編微分してから負号を付けたものになる。グリーンの定理に出て来るもう一つの関数v(x,y,z)は、点Pを中心とする球面波v=exp(ikr)/rに選んであるので、表面S'にわたる積分は計算できてしまう。一箇所、方向微分を-∂/∂rとするところを、負号を落としてしまっていて、途中で修正した(もちろん、R→0とすれば落ちる項ではある)。今回は、極座標を用いた表現を早めに出したので、スムースにできた。R→0として、表面S'にわたる積分が4πu(P(0,0,0))になることから、ヘルムホルツ・キルヒホッフの積分定理に至って終り。