講義1(後期開講分) 平成29年度7回目

2017年10月24日。

夕方に講義1(後期開講分) 平成29年度7回目。講義の最後の方は、声が出ない。あたらめて来年度は、この時間のコマに講義を入れるのは断ろうと思った。

昨日の最後に「減衰波の解に物理的意味がある」と、入射角が全反射の臨界角よりも大きなときに透過波がエバネッセント波になるのが、単なる数式をいじくって出てくるだけのものではないことを言いうのに、振幅透過率が透過波の振幅と入射波の振幅の比であることを言ったが、全くレリバンスがないことだったことから始める。もちろん、それに従って、位相が加わる訳だが、減衰波の性質には関係がない。ここで、rS = ES(r)/ES(i), tS = ES(t)/ES(i)では、ES(j)(j=i,r,t)はy成分しか持たないので、ES(j)はそれと同一視するれば良いことはすぐわかる。しかし、rP = EP(r)/EP(i), tP = EP(t)/EP(i)のEP(j)については、EP(j)がx成分とz成分をもつので、同様には行かない。EP(j)は成分でなくて振幅なので、[EP(j)]2がそれらの成分の二乗の和と等しいが、符号が決まらない。「P偏光については、今度はHP(j)がy成分のみを持つから、代わりにこれを使って計算をして見ましょう」と言うのが、レポートの課題です。と説明を行う。

次いで、教科書のミスを板書する。その説明が、エバネッセント波の性質の説明になっている。少し補足をし、エバネッセント波の染み出し距離が波長と同じオーダーであることも説明する。その後、波数ベクトルのz成分が純虚数となる計算を行う。

その次に全反射のときの反射波についての説明に移る。フレネルの公式の振幅反射係数rP(S)の分子と分母が互いに共役な複素数になっていることを説明し、その大きさが1であることを説明。反射時に位相がシフトすることを述べる。P偏光とS偏光でシフトの大きさが異なることが興味深いことに繋がる、と次の項目へのイントロとする。単一の成分だけを考えてる場合は、exp[i(ωt-kz+φ0)]の初期位相φ0を消すような座標の取り方をすることができた。成分によって初期位相φ0が異なる場合は、それはできない。

最後の偏光(状態の分類)については時間が不十分であった。まず、偏光状態とは成分の間の関係であって、P偏光成分のみを扱うとか、S偏光成分のみを扱うというものではない、と説明。次に、多くの教科書では、複素振幅ではなく、実在波(コサイン)を使って議論してあることを述べ、教科書に従わずに、「かつて私がセミナーを行ったときのテキストに従って説明を行う」と。まず、電場ベクトルの先端の軌跡が一般には楕円を描くことを説明。ウォーミングアップとして、x方向の直線偏光になる場合とy方向の直線偏光になる場合の説明をする。次いで、一般の直線偏光。その次に円偏光。最後に円偏光の回転方向の説明をして終り(だが、ここで昔のセミナーのテキストミスプリントがあることに気付いて、板書を修正・・・とっさに修正できるくらいに頭は回っているが、冒頭に書いたように声が出ない)。理解に困難がある学生がいるようだったので、(cosφ,sinφ)と(cosφ,-sinφ)がφ=ωt-φ0xの増加に伴い、単位円上をどちら方向へ回転するかを考えるポイントを述べた。もちろんΔφ0(=φ0y0x)=π/2+mπ(m:整数)のときにcos(φ+Δφ)=±sinφも説明して。