博士前期課程講義 平成29年度 7回目

2017年5月31日。

昨日の午前後半の講義。ImageJを使ったフラクタル解析の実演。乾燥シリカゲルの切断面のフラクタル解析の研究紹介をした後に、大学院生による解析結果の紹介と実演をやってもらいました。実演をしてくれた院生は、レポート免除です。

私自身の研究紹介には二つのポイントがあります。その一つは、フラクタル解析を行った目的に関するものなので、シークレット。もう一つは、ImageJのボックスカウント法のツールを使う前に、画像の二値化が必要なこと。二値化のThreshold値を変更すると、異なる二値化画像となる。従って、ボックスカウントの結果も異なる。ボックスカウントの両対数プロットのフィッテングのR2値が二値化のThreshold値によって異なる。紹介したデータの場合は、二つのThreshold値の差を大きくするとR2値が1に近づく結果であった。しかし、これについては、R2値がある値より大きかったらよしとなければきりがない。

さて、講義中に行った粘性指の画像、海岸線の航空写真、自身の研究の材料の写真(結晶成長の写真)の解析を大学院生がやってくれた。最初は、初期設定のThreshold値で二値化し、ボックスカウントを行った結果の紹介。実演もしてくれた。一通り終ってから、粘性指の画像について二値化のThreshold値を変えると、二値化の結果が異なることをやってもらった。そして、輪郭部分を抽出するThreshold値では、あらかじめ解析して来てくれたものよりも小さなフラクタル次元の値になることを実演してもらった。もちろん、データが一次元に近くなるので当たり前。

院生から、海岸線のフラクタル次元は1.1から1.3くらになるといわれているのに、大きな値になってしまった、とのコメントがあった。二値化画像が二次元に近いものなので、その程度の大きな値になるのは自然で、海岸線だけを抽出するThreshold値で二値化すれば、1に近い値となるはずとの回答を返した。また、以前にデバイダー法の解析をしてももらったときに私が海岸線の図に比べ今回の海岸線は複雑さが少ないように見える。従って、以前のものは1.3に近いフラクタル次元になったのに対し、今回のものは1.1に近い値になるのではないか、とも加えた。その後海岸線を抽出するThreshold値を見つける作業を少ししてもらったが、うまくいかななかったので、これはやめた。ImageJの他の画像処理の機能について少し話、それを使って解決することもやろうとしたが、適当なものを見つけられなかった。そこで、再び粘性指の画像の二値化をやり直してもらい、Threshold値によって輪郭だけを抽出できそうなことを納得してもらった。ついでに、輪郭だけを抽出しようとしても内部に「点」が残る場合、手動でそれを消すのも有効で、今の二値化画像がその典型ですと、補足。