講義1(前期開講分) 平成29年度14回目

2017年5月29日。

本日の午後イチの講義。まず、午前中に昨年度の記録(ブログ)を確認する。フレネルの法線方程式までで終ることは、確認するまでもない。直交するベクトルについての「トリプレット」と言う語を、昨年度はここで紹介したんだ。今年度は済なので、それを認識した話し方にしよう。

まずは異方性とは、と言う話。DEの係数が電場の方向によって異なる例を、異方性分子系を例にとって行う。その後、電磁場のエネルギー保存の式に基づいて、誘電率テンソルが対象テンソルであることを説明する。これは、異方媒中の光波・電磁波の性質ではなく、媒質の性質。

その後、フレネルの法線方程式に入る訳だが、間に1ステップ入る。例年と同じ。εがテンソルで、μがスカラーの場合、電荷密度と電流密度がゼロのときのマクスウェル方程式を書き換えて、異方性媒質中の光波の振舞いを調べる。aを伝搬方向の単位ベクトル(波面法線の単位ベクトル=等位相面の伝搬方向の単位ベクトル)として、D=(n2/μc2)[E-a(aE]=(n2/μc2)E>sub>⊥が出てくる。これは、等方性媒質の場合は、TEM波の条件は、方向に関して、(E,H,a)のあだにトリプレットの関係が成り立ったが、異方性媒質の場合は、もはやDEは平行でないから、それを区別した厳密なものにしなければならない。DH⊥aに置き換わる。波面法線方向aとエネルギーの伝搬方向(ポインティングベクトル方向の単位ベクトル)が異なることも述べるこの式をもとに、フレネルの法線方程式に至る。フレネルの法線方程式の意味は、主伝搬速度vx,vy,vzが既知の媒質に伝搬方向がaの光波(電磁波)が入射したときの位相速度vpを求める形になっているが、主屈折率nx,ny,nzが既知の媒質中の光波の屈折率nをaが与えれたときに与えるものでもある。

次回の予告。「主屈折率nx,ny,nzが既知の媒質中の光波の屈折率nをaが与えれたときに与える」方法に、屈折率楕円体を使った方法がある。教科書では、誘電率楕円体となっているが、定義式の分母を主屈折率で置き換えることができ、その場合に屈折率楕円体の語が使われます。尚、これは常識的に知っているべき事項なので、何らかの形で毎回試験に出しています。