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講義2 平成28年度第10回目

2016年7月10日。

7/8の午後イチが10回目の講義。その前に、画面が切り替わってしまって書いた部分が失われてしまった、朝イチ(9回目)の残りを記す。

 

9回目

示強変数と示量変数を丁度熱力学的共役名ものが上下になるように列記した後、dU = TdS -PdV +μdnを指して、示強変数と示量変数が組みなっていることに言及。このような組になっているものを互いに熱力学的に共役というと説明。上下になるように列記したところ、共役な組を枠で囲む。さて、dU = TdS -PdV +μdnは、S, V,…が独立変数とし、T, P,…が従属変数であることを表していた。変数の間の関係式を示量変数の性質から考えて見ましょう。dU = TdS -PdV +μdnが書いてあるので、それに関する考察をしますね。Gについて行っている教科書が多いんですが、それは教科書を見て下さい。エントロピーS、体積V、モル数nの系を考え、その内部エネルギーをUとしましょう。その系をλ個合わせた合成系の内部エネルギーを考えましょう。それは、一つの系の内部エネルギーのλ倍になりますね。エントロピーS、体積V、モル数nの系の内部エネルギーをU(S,V,n)と書くと、λU(S,V, n) = U(λS, λV,λn)となりますね。この両辺をλで微分して、・・・、U = TS -PV +nμが得られます。同次式の定義と同次式に関するオーラーの定理を説明し、途中の U = S(∂U/∂S) + V(∂U/∂V) + n(∂U/∂n)が1次の同時式についてのオイラーの定理そのものであることを述べ、関係式U = TS -PV +nμはしばしばオイラーの関係式と呼ばれること言う。熱力学基本式と呼ぶ人もいる dU = TdS -PdV +μdn の類のものを、非平衡の熱力学の人などはギブス関係式と呼ぶことは、既に説明済み。ギブス・エネルギー定義 G = U -TS + PVを用いると、オイラーの関係式は G = nμとなる。のオイラーの関係式を微分して [微分はd、(∂U/∂S)などは(偏)部分係数]、dU = TdS + SdT -PdV -VdP + ndμ + μdn。dU = TdS -PdV +μdnを用いると、0 = SdT - VdP + ndμとなる。これはギブス・デュエム関係式と呼ばれる。分野によって呼び方が異なることはない。田成分系の場合は、nとμには分子種を表を添字が付き、積については全ての分子種に渡って和を取ることになる。単成分系の場合のギブス・デュエム関係式はモルエントロピーとモル体積を用いて更にdμ = -SmdT + VmdPとも表せる。化学ポテンシャルが温度の圧力の関数であることを表しています。μ(T,P)。

理想気体の化学ポテンシャル、これは正確には理想気体の化学ポテンシャルの圧力依存性。標準状態を表す添字「プリムソル」を説明する。教科書は標準圧力における化学ポテンシャルを基準にそれとは異なった圧力のが化学ポテンシャルを表す式が書いてあるが、それを板書し、Tが同じで圧力が異なることを言う。まずdμ = -SmdT + VmdPから(∂μ/∂P)T = Vm = V/nを言い、「一般に」と言うことで、μ(T,P2) - μ(T,P1) = ∫P1P2 (∂μ/∂P)TdP = ∫P1P2 (V/n)dP =  ∫P1P2 (RT/V)dP = RT ln(P2/P1)をやる。見慣れた形でしょう。理想混合気体の場合も同様。また、ダルトンの法則を使うと、理想混合気体については、モル分率xを用いた表現式になる。これは混合のエントロピーと同じ形をしていますね。G = ΣniμiとGにおける混合のエントロピーの部分の式(ΔmixG = RT Σni ln xiのこと)を比べると、混合のエントロピーによる化学ポテンシャルがわかると思います。

最後に質量作用の法則。ここでも、化学平衡ということをまず明言。相平衡のところでも、平衡 = 自由エネルギー最小の問題を解いた。ここでは、等温定圧の元での化学反応を考え、ギブスエネルギー最小の問題を解きます。例としては、水のイオン積を思い出して下さい(もちろん[H+][OH-] = ・・・も書く)。溶液の化学ポテンシャルをやった後にモル濃度用いた質量作用の法則はやります。ここでは、気体の科学ポテンシャルをやったので、教科書の気体の反応の例を挙げます。ダルトンの法則を用いてモル分率を持ちた表式には書き換えられますので、分圧を用いた表式をやります。以前に失敗したことがあるので、化学両論係数の符号の定義を明確にしておきます。まず、第1法則(熱化学方程式)のところで出てきた、反応系(原系)と生成系という語を再確認しましょう。材料の立場だと、反応物などという言葉も使われます。化学反応式の右辺を左辺へ移しても、左辺を右辺へ移しても本質的には同じだといいましたね。ここで、Δ反応○ = ○反応後 - ○反応前だったことを思い出しましょう。反応式の原系を生成系の側に移行すると、原系の化量論係数には自然に負号が付くんですね。この流儀で進めます。何に関してギブス・エネルギーを最小にするかを明らかにしますね。化学反応 ΣνiAi= 0 を考えましょう。モル数n1,n2,…に関してΔG = G生成系 - G反応系を最小にする問題です。aA + bB = cC +dD の場合だと、ΔG はcモルの物質Cとdモルの物質Dのギブス・エネルギーcμC - dμDからaモルの物質Aとbモルの物質Bのギブス・エネルギーaμA - bμBを引いたものです。モル数がn1→n1+dn1,n2,→n2+dn2,…と変化したとき、「aA + bB = cC +dDの場合にaモルの物質Aとbモルの物質Bが反応してcモルの物質Cとdモルの物質Dが生成すること」を一般化し、dn11 = dn22 = … = dnii = …が成り立ちます。dnii = dξとおくと、dn1 = ν1dξ, dn2 = ν2dξ,…,dni = νidξ,…となります。ξは反応進行度と旧呼ばれます。ξを使わずに汚く計算をした方が演習としてはいいのですが、時間がないのできれいにやります。δG = G(n1+δn1,n2+δn2,…) - G(n1,n2,…)を計算するしましょう。テーラー展開を行うと、δG = Σ(∂G/∂ni)T,Pδni = Σμiδni = Σμiνidξとなります。従って、G最小の条件はΣνiμi = 0となました。さて、この式にμiを標準圧力における化学ポテンシャルμi0(プリムソルの変わりに0を付けました)を基準に分圧piで表した式を代入しましょう。Σνii0+ RT ln(pi/P0)] = 0。時間がないので、丁寧に式変形しましょう。Σνiμi0 +RT Σνi ln(pi/P0)] = 0。Σνiμi0 の下に下線を引いて=ΔG0と書いた後、ln xyz = ln x + ln y + ln zの公式を逆に使えば、πi (pi/P0)νi = KP0, KP0 = exp[-ΔG0/RT]が得られる、として講義終了。

5分のオーバーであった。

 

10回目

午後イチの講義では、出席をとる前にΣνiμi0 +RT Σνi ln(pi/P0)] = 0 からπi (pi/P0)νi = KP0, KP0 = exp[-ΔG0/RT] までの途中過程を板書して、「朝イチの講義の終了後にこの導出の詳細を問われたので、補います」とした。標準圧平衡定数KP0を用いた式から、圧平衡定数を用いた式への変形は教科書通りですし、濃度平衡定数を用いた表現式への変形も同様です。また、講義の区切りと教科書の区切りが区別しにくいところがある、との指摘があった。7割くらいいは「区切り」よりも「繋がり」を重視してそしているが、残り1-2割では不要なのに区切りがわからないようにしており、更に残りの1-割は教員の無頓着さでしょう。ノートを取った後に整理するときに、自分だけの虎の巻を作る積もりになるといいのではないでしょうか?

 標準ギブスエネルギー変化、平衡定数の温度変化、熱力学と平衡定数がこの時間の内容。標準ギブスエネルギー変化については、標準に関しては標準状態(標準圧力)での値であることを表しており、後は標準エンタルピーや標準エントロピーのエンタルピーやエントロピーがギブスエネルギーの替わっただけで、反応○○だけでなく生成○○に付いても全く同じ。平衡定数の温度変化は温度依存性のことで、van't Hoffの定圧平衡式のこと。熱力学と平衡定数は、二つの内容が含まれ、本講義では区別する。

平衡定数の温度依存性を表すvan't Hoffの定圧平衡式は、途中まではKP0の温度依存性を表すのに、対数微分の形で解析するものとして進める。(d/dT) ln KP0 = (d/dT) [-ΔG0/RT] = -(1/R) [(∂/∂T)(ΔG0/T)]Pまで書いて、「さて、ここで以前に『それを使うときに詳細を述べます』といった、ギブス・ヘルムホルツの式を使うのですが、どうしましょう?」と。定義からG = H -TS。また、dG = -SdT - VdPなので(∂G/∂T)P = -S。Gの定義式はG = H +T(∂G/∂T)となる。つまりH = G - T(∂G/∂T)。「第二項の前の符号がプラスだったら、[∂(GT)/∂T]Pと直ぐに簡単にまとまるんですが・・・。」「まっ、計算したいのが [(∂/∂T)(ΔG0/T)]Pなので、[∂(GT)/∂T]Pでなく[(∂/∂T)(G/T)]Pを計算してみましょう。[(∂/∂T)(G/T)]P = -[G-(∂G/∂T)]P/T2が出るが、うっかりH = -(1/T2)[(∂/∂T)(G/T)]Pと書いてしまい、後で(1/T2)をT2に修正。= -(1/R) [(∂/∂T)(ΔG0/T)]Pの後に = -(1/R)[-ΔH0/T2]を書いてから最終の式(d/dT) ln KP0 = ΔH0/RT2を書いたときも、分母の2が抜けていてあとで修正した。物理的な解釈が重要である。つまり、ΔH0 > 0ならばdKP0/dT > 0、ΔH0 < 0ならばdKP0/dT < 0。ΔH0 > 0つまり反応後のエンタルピーが反応前のエンタルピーよりも大きい吸熱反応の場合は、温度が上昇するとそれを課緩和するように、反応が右へ進む。ΔH0 < 0の場合もも同様に、温度変化を緩和する方向に反応は進む。教科書に書いてあるように、ルシャトリエの原理し従う。

最後のところの前半は、たとえΔG0 < 0の場合でも(pCνCpDνD)/(pAνApBνB) = KP = exp[-ΔG0/RT] → ∞(pAνApBνB = 0)にはならないし、たとえΔG0 > 0の場合でも(pCνCpDνD)/(pAνApBνB) = 0のはなぜか(反応が完全に右や左に進んでしまわないのはなぜか)、という説明。必ずわずかでも成分が残って、ln xの形の混合のエントロピーの分だけ得をした方が、トータルの自由エネルギーとしては小さくなる、と言うことです。それがエントロピーというものです。

最後のところの後半は、「今まで理想混合気体の式を使ってやって来ましたね(希薄気体を対象にして、理想気体の近似を用いました)。最初の序論のところでも理想気体をやった後に非理想気体でしたね。」「すると、次にどの方向に進むかは想像がつきますね。」非理想気体の場合の扱いをやります。物理(統計物理)の人と化学(物理化学)の人でやり方が方針が異なります。非理想混合気体の質量作用の法則は、Σνiμi = 0に非理想気体の化学ポテンシャルの式を用いればよいというのが物理の人の立場です。それに比べると、化学の人はπi (pi/P0)νi = KP0の形を保とうとこだわるんですね。非理想気体ですから、μi = μi0  + RT ln (pi/P0) は成り立たないのですが、ある関数f(p)を導入して、μi = μi0 + RT ln (f(pi)/P0)と書くんですね。そうすると、質量作用の法則はπi (fi/P0)νi = KP0と書けますね。fはヒュガシティと呼ばれます。希薄極限で理想気体となることから、p~0でfにp漸近する、という性質があります。先ほどから対数微分という言葉を出していますが、逆なんですね。実験的にμを決めるところ、f = exp(μ/RT) + const.を決めるいうことになっています。μとfの関係の定数は標準状態の化学ポテンシャルと一意に決まるので、定数も決まってしまいます。

15分くらい早く終わった。目標1の試験について、問われて、少しコメントをした。