講義2 平成28年度第4回目

2016年6月22日。

熱力学第1法則の2回目(後半)。ジュールの法則、気体の熱容量、相変化に伴う熱量、反応熱、反応熱の温度依存性、理想気体の断熱変化。ジュールの法則は、熱の仕事等量のジュールの実験ではなく、理想気体の内部エネルギーに関するジュールの法則。熱の仕事等の実験は、前回の事項。これに関しては、エネルギーの変換と言うことを考えると、困難な実験である、とコメント。おもりの位置エネルギーを最終的に熱エネルギー(正確には、内部エネルギーの増分)に変換する実験。実は途中で水の流れのエネルギーに変換され、それが全て熱に変換される必要があるんですね。そう考えると、おもりに運動エネルギーが残っていてはいけないんですね。

理想気体の内部エネルギーに関するジュールの法則は、理想気体の内部エネルギーが温度のみの関数であるというもの。既に、大きさも分子間相互作用もない分子からなる系が理想気体であることを述べているので、直感的にはわかるはず。単原子分子の場合から、多原子分子への拡張を行う。並進の自由度、回転の自由度、振動の自由度等の導入を行う。ジュールの行った実験を理解することは、熱力学第1法則になれるののにいいので、多原子分子の話の前に行う。また、気体の自由膨張をここで導入する。凍結された自由度という語も出した。

気体の熱容量は、最終的に比熱比までをやる。定積熱容量の計算は、ジュールの法則のところの結果により直ぐにできる。Mayerの式を通じて定圧熱容量を計算するには、前回時間切れでできなかった、定積熱容量と定圧熱容量の関係を使わなければならない。これには、偏微分において一定に保つ変数を変更したときの公式(熱力学独特のものである)の説明をしなければならない。これを今回行うのは、いいアクセントではないだろうか? この公式の説明の後に「こんがらがった頭を冷やす、整理するのに、少し時間を置きましょうか。」と。

相変化に伴う熱量、反応熱、反応熱の温度依存性は、偏微分において一定に保つ変数を変更したときの公式に比べると、単なる算数である。ヘスの法則もキルヒホッフの法則も。もちろん、エンタルピーに慣れる意味は大きい。また、化学量論係数の導入も行う。吸熱と発熱の定義も行う。反応エンタルピーが正だと吸熱なのか発熱なのか、札とどちらなのか、各自確認を行っておいて下さい。吸熱や発熱の英語は初耳かも知れないが、それには触れられなかった。生成熱の定義や標準状態の定義もやる。標準状態って、人間が実験を行う上での言葉で、物質の状態が標準的って訳ではないよ。

理想気体の断熱変化は、「あ、熱力学第1法則だけでも、物質の性質の計算ができるんですね」というもの。しかし、次の事項(ツボ)は述べる時間がなかった。断熱変化だから、第1法則の式から熱が消えて、既にやっている静水圧よる仕事だけで計算ができるんですね。つまり、第2法則をやっていないので、熱d’qについての表式がないんです。熱容量の式では、第1法則を用いて熱を表現したんです。熱に対して、静水圧による仕事のような表式を当てはめて、何か計算した訳ではないんです。尚、理想気体の断熱変化は、第2法則の出発点のカルノーサイクルの計算を行うのに必要です。つまり、計算をしただけ。二分オーバーしたが、一定に保つ変数の変更の公式のあとの時間をもう少し短くすれば良かったのかもしれない。

さて、演習について伝えなければならない。実在気体に関する計算問題にするか、第1法則に関する計算問題にするか? この時間がないことは予想できたので、一定に保つ変数の変更の公式のあとの時間にコメントだけした。

実は、指がこわばっている。昨年度は、前期の終わりに関節痛で板書でき状態になり、パワーポイント講義にした。今は痛みは治まっている。カロナールを服用したせいだろうか。講義1の採点等を片付けてしまわないと、関節への負担が蓄積して、二の舞になり兼ねない。