講義1 平成28年度第11回目

2016年5月21日。

「成人スティル病の患者が大学教員の職務に復帰した様子を発信し、他の方を勇気付けたい」という意図でブログを綴っています。このところ、多忙でその発信が少し遅れ気味になっています。演習の自分の担当分は終わったのですが、試験で学生がはずしてしまいました。詳細は、改めて記述します。はずして困るのは、本来は学生の方なんですが、添削と解説付き略解の作製等に時間を取られていました。

5/20は、先週の続き。つまり回折理論の「理論」の最後。フラウンホーファー回折まで説明し、フレネル回折については「お話」だけで終わらせる。フラウンホーファー回折については、平行光が回折される場合について、別個に説明。これは、平行光が回折される場合、傾斜因子を別個に説明したのと似ている。ただ、傾斜因子については、それによりホイヘンスの原理による説明では排除できなかった逆進する光が、回折積分では自動的に排除される結果になることを強調するもの。平行光の場合のフラウンホーファー回折は、「開口の大きさ」と開口と観測面との距離という具体的な変数で表現できるので、単純化されていいと思う(もちろん、今の段階では、回折積分では開口関数の形で入っているので、「開口の大きさ」にはなっていない)。その式の中、分母に波長λと開口の中心と観測面の中心の距離Rが積の形に入っているので、Rを倍しにして拡大した回折パターンとλを倍にして拡大した回折パターンが同じものであることが、わかる人にはわかる、とのコメントを加えた。

フラウンホーファー条件については、毎回少し丁寧にやっている。回折積分の被積分関すをexp(ikr)だけの形に近似するためには、開口面と観測面の距離が波長よりも十分に大きいことが必要だったが、これは一般的な光学系で成り立つ。それに対し、「回折積分フーリエ変換になる条件は、そんなに一般的ではない」と言う話。まず、近軸光を対象にすることを述べる。その後、exp(ikr)のrを開口面上をスパンする積分変数で展開して、一次までで近似できる条件を定式化する、と言うように進める。重要なのは、それが成りたたないケースは希ではないこと。具体的な、例えばカメラ程度の大きさの光学機器を想定すると、微妙である。そして、フーリエ変換レンズの話をする。

理論を終えたら、次回から具体的な計算に入る。それにより、回折に関する概念を身に着けてもらう。計算に一杯になってしまうと、その目的が果たせないので、理論が終わったらフーリエ変換の演習を行う。既に先週に問題は渡してある。締切は二週間後。喉がガラガラで「二」に濁点がついたように聞こえていたか。目標1の試験の採点もある。