博士前期課程講義 平成27年度 講義13回目

2015年7月14日。

ランダムウォークとレビィフライトの話をした後に、DLAについて。

まず、ランダムウォークの定義。nステップ後の粒子の変位R(n)の二乗平均がnに比例すること(<R(n)2>=na2)は簡単な算数。kステップ目に位置rに粒子を見出す確率u(r,k)の発展方程式を出す。その後、時間t=kτが1ステップ当たりの時間τより大きく、|r|が格子間隔aより大きい場合に連続近似を行って拡散方程式になることをやる。フーリエ変換û(q,t)を導入して拡散方程式を解いて、u(r,t) ∝ exp(-r2/4Dddifft)を導く。その後、それを使って<r2>=∫r2u(r,t)ddrを計算した後、ランダムウォークの軌跡に含まれる粒子数nとR=(<r2>)1/2の間にn~R2の関係があることを示し、空間次元dによらずにフラクタル次元がdW=2であることに言及。当然然、ランダムウォークが鎖状高分子の今フォーメーションのモデルの一つであること、従ってランダムウォークの軌跡のフラクタル次元は高分子「クラスター」のフラクタル次元であることにも言及。大きさを表す指標に末端間距離と回転半径があることには触れなかった。

レビィフライトは、1ステップ当たり粒子がホップする距離が固定されたい場合の一般化として説明。特に、距離sがs>Sとなる確率がP(s>S)=(S/a)fwとなる場合をレビィフライトと呼ぶ。発展方程式はランダムウォークについて丁寧にやっているから分かるだろうとして、同様に行なう。ランダムウォークの場合と異なり、ガウス積分とそれに付随する公式を直接使える形でないので、<r2>=∫r2u(r,t)ddrの計算は行わなかった。結論n~Rfwと、従って空間次元dによらずにフラクタル次元がdW=fWであることを述べる。

DLAは、まずアルゴリズムを説明。次に拡散粒子の密度u(r,t)について拡散方程式が成り立つことと、十分大きな(自己相似性を有る)クラスターに対しては∂u(r,t)/∂t ~ 0とする「定常近似」が成り立って、ラプラス方程式を解く問題に簡略化されることを述べる。注が必要で、固定境界に対する境界値問題ではなく、moving boundary problemになっている。境界が成長する確率をu(r,t)で表す必要がある訳です。リーデイングオーダーでそれはu(r,t)の境界面法線方向の方向微分になる。それを一般化したものとしてηモデルを記述するが、詳細は一切省略。

さて、最後にDLAのフラクタル次元の理論。実質、Toyaki-HondaのPhysical Review Lettersのもの。dD = (d2+dw-1)/(d+dw-1)とdw=2の場合dD=(d2+1)/(d+1)を出す。各種のdとdWについてのシミュレーションおよびラプラス方程式による結果をこの理論による結果と比較。理論の導出は割愛しようかと考えていたが、程よい時間があったのでやった。