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講義2 平成27年度8回目

2015年7月3日。

前半の試験は少し後にやることにしているので、講義としては今日から後半の内容。孤立系に対して「エントロピー増大の法則」の形にまとめられた熱力学第2法則を実用的な形式に書き直し、化学平衡とか相平衡へ適用するのです。また第二法則の書き換え? そうです、第二法則が熱力学の魂なんです。

自由エネルギーを導入するのが最初。付随する性質もやってしまう。全系に対する第2法則のうち、外界のエントロピー変化を使って書き換える。一般的な形式よりも、自由エネルギーの導入を目的として、等温定積系と等温定圧系に限定してしまう。そう、前者の熱力学ポテンシャルがヘルムホルツエネルギー。後者の熱力学ポテンシャルがギブスエネルギー。ギブス自由エネルギーなどとしないのは、Internationa Union of Pure and Applied Chemistryの取り決め(学術雑誌のエディターでそれを知らないおたんちんがいることを思い出した)。え、熱力学ポテンシャル。そうですね、力学ではポテンシャルを習っていますが、熱力学におけるポテンシャルって初めてですよね。力学の同じ様に、熱力学における平衡条件が熱力学ポテンシャル最小で与えられていますよね。全系のエントロピー最大の条件を書き換えたことから、理解できますよね。力学のポテンシャルは、もう一つ意味がありますよね。高さhのところにある質量mの物体の重力エネルギーはmghですが、それは高さhだけその物体が落下した時に取り出せる最大の仕事ですよね。系の状態がAからBへ変化したときの自由エネルギー変化ΔA=AB-AAなりΔG=GB-GAがその変化を起こしたときに系から取り出せる最大の仕事になるんです。取り出せるといった場合は、系に(外界が)行なう仕事の場合はとは符号が異なりますので、注意して下さい。

次に熱力学関係式。まずは、熱力学基本式とか非平衡熱力学の分野でギブス関係式と呼ばれているものから。次にマクスウェル関係式。ギブス・ヘルムホルツ関係式は平衡定数の温度依存性のところでやるので省略。d'q=TdSの置き換え(不等号がない!)に戸惑うかもしれませんが、二つの状態の間の変化を可逆に限定してしまって、十分に有用なものが得られるんです。

最後に開放系への拡張。化学ポテンシャルを導入する。ただし、オイラーの関係式(同時式に関するオイラーの定理を一次の同次式である熱力学ポテンシャルに適用して得られる式を、しばしばこう省略します)とギブス・デュエム関係式は次回。物質量がdn変化した時に系に外界がなす仕事がμdnとなるように係数μを導入する。その係数を化学ポテンシャルと呼ぶ。熱力学的に共役な変数の組という話もする。ルジャンドル変換の語も説明。熱力学ポテンシャルを物質量で編微分したものが化学ポテンシャルであるという説明も。ついでに、統計力学では物質量に粒子数を用いるのが自然で、その場合化学ポテンシャルの定義はアボがロド数倍だけ異なるという説明も。ついでに、統計力学ではエネルギーにFを用いることもおおいことと、自由エネルギーと自由を付ける人もいまだに多いことにも言及。