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講義2 平成27年度5回目

2015年6月24日。

演習の後、カルノーサイクル、熱力学第二法則、可逆過程と不可逆過程。何と、演習問題は、3問もやってくれた! それよりも・・・全員出席で拍手で授業を始められたことが嬉しい。この学年も、ノリが良くできるかも知れない。

くどいが、「熱力第二法則が熱力学の魂である」ことを強調。

カルノーサイクルは、理想気体を作業物質として熱効率を計算するもの。可逆機関の熱効率が熱源の温度のみの関数になることを示すためのものだが、カルノーの定理は少し後。理想気体の断熱変化の演習的なものである。トムソンの原理やクラウジウスの原理をやるためには、サイクルの定義が重要。また、可逆サイクルとその逆回しもトムソンの原理からクラウジウスの原理を導くためには必要だが、これはそのときに言った。

第二法則としては、トムソンの原理、クラウジウスの原理が主。オストワルトの原理という言葉も紹介。それらの間の等価性を講ずる。それに先立って、熱の仕事当量についてのジュールの実験の逆は起きないこと、熱伝導現象の不可逆性、気体の自由拡散の不可逆性、気体の混合が不可逆性、水が自然に酸素と水素に分解することはないことを例示する。熱の仕事当量のところで、錘が落ちて羽を回して水を撹拌して、水の温度が上昇すると話していますが、q=CΔTに基づいていきなり温度上昇と言っていますが、温度と熱は別物なので区別して下さい、と。仕事→熱→温度(上昇)なんですね。

順番が逆の気もするが、最後に可逆過程と不可逆過程の定義である。熱力学においては、準静的過程=可逆過程である、というのが結論である。

アクセントの置き方に工夫を要するところである。実は、私の得意とするところである。「外界も含めて、全てを元の状態に戻すことができるかどうか?」 地球温暖化の問題や環境問題についても触れる。熱を発生しなければ良いわけではない(まして、熱を発生しても二酸化炭素を発生しなければいい、というのはマスコミに踊らされて、間違いを刷り込まれてしまっているんです、ということは時間がなかったので省略)。部屋(系)の温度を元に戻すためにエアコン(ヒートポンプ)で熱を室外(外界)に運んだ。インク(不純物)の混じってしまった液体をポンプで汲み上げてフィルターを通して元の純粋状態に戻した。理想的に操作が行えたとして、外界にどれだけの影響が残ったか比較してみよう。そうですね、熱を発生しない不純物の混合だって、ポンプを駆動するのにエネルギーが必要ですよね。同じものさしで測るべきですね。不可逆の度合いを記述する「エントロピー」という新しい量を学ぶのが熱力学のエッセンスなのです。

ところで、皆さん、私は何度か「あまり無理をして不可逆なダメージを残さないように」とことを言っていますね。これは、熱力学での不可逆過程ではありません。準静的過程は実現不可能なのですから、現実の過程は全て不可逆過程なんです。だったら、不可逆なダメージってなんですか? 外界に変化を残しても元の状態に戻せるのなら、戻したい。だけどね、生命が死んだら、どんなに外界に変化を残しても、元には戻りません。私は今、ステロイド剤(副腎皮質ホルモン)の服用中ですので、環境にホルモンを放出しまくりです。不可逆の度合いは非常に大きいんです。しかし、もし1年前春先に私が死んでいたら、どんなことをやっても元には戻せません。環境にどんな影響が残ってもいいから、元の状態に戻す。そして、環境に対しての不純物をポンプで汲み上げてフィルターを通す。そして、統一された基準で不可逆の度合いを比較しよう。そういうことは、不可能なのです。皆さんには遠い話だったかもしれませんが、若い頃に無理をし過ぎると、取り返しの付かない後遺症が残る可能性もあるのですよ。