講義1 平成27年度12回目

2015年5月22日。

初めに前回に決めた目標2の演習問題をプリントしたものを配布。講義のメインな内容は、矩形開口(単スリット)による回折、それと二重スリットによる干渉との比較。特に、前者の暗線条件が後者の明線条件になること。

exp(ikr)=exp[(2πi/λ)r]のλをうっかり書き落とすミスに大焦り。sincの引数が無次元数になていなくて、気付いて訂正。幅2aの単スリットによる回折の振幅は、Cを定数、Rを開口の中心と観測点の距離としてu(x)=2aCsinc[(2πa/λR)x]。引数は無次元数である。もちろん、Rを開口面と観測面の間の距離zで置き換えないと(観測点に対して近軸の条件を用いないと)、話は前へ進まない。講義では、脈絡なくRを定数として扱った話にしてしまった(「回折角」の説明ところで、第±1暗線とか±1次光を扱うので、Rのzによる置換えを行った)。

大学と高校の違いは振幅分布や強度分布をやるかやらないか。明線条件・暗線条件だけなら、高校と同じことにも言及。

尚、「回折角」について要注意。±1次光の回折方向を角度で表すことでも回折広がりは表せます。0次光の回折広がりでも表わせます。後者では、半値(全)幅で表すやり方と、第±1ゼロ点(暗線)の方向を角度で表すやり方がありますね。第±1ゼロ点の方向で回折角Δθを定義すると、|Δθ|<<1のときにtanΔθ≒sinΔθ≒Δθ≒x1/z=λ/wとなります。w=2aは、スリット幅です。屈折角がΔθ≒λ/wとなるのは、光軸と第±1暗線のなす角で屈折角を定義した場合の話です。このパラグラフ中のそれ以外の定義だと、Δθ≒λ/wとはなりません。

ちなみにx=λR/2wのときには、sinc[(2πa/λR)x]=sinc(π/2)=2/π≒0.6です。sinc[(2πa/λR)x]=1/2となるのは、x=λR/2wより少し大きいところですね。つまり、0次光の半値全幅で屈折角Δθを定義した場合は、Δθはλ/wより少し大きくなる訳ですね。また、定義sincθ=sinθ/θから、微分は[sincθ]'=(cosθ・θ-sinθ)/θ2なので、sincθは極値を与えるθはcosθ・θ=sinθつまりtanθ=θによって与えられます。y=tanθとy=θのグラフの交点として求まります。θ0=0のとなりの解は、θ±1≒4.5。従って、±1次回折光の角度は±(θ1/π)(λ/w)≒1.4(λ/w)ですね。

尚、tanθ=θの解は、明線位置を与えますので、θ=・・・,-5π/2,-3π/5,3π/2,5π/2,7π/2,・・・よりも明線が内側にずれていることもわかります。