博士前期課程講義 平成29年度 9回目

2017年6月13日。

副鼻腔炎が悪化して、顔面が痛くてしゃべりっくい。しゃべりにくさは、先週から。講義は終え、昼のゼミの後に早退。一応、昼食後に少し待機して、学生の対応の最低限のものは済ます積りだったが、対応することはなかった。

講義はカントール集合とコッホ曲線について。[0,1]の線分の真ん中1/3を取り除き、更に残った線分に対しても同様に真ん中の1/3を取り除く、という操作を繰り返して得られるものがカントール集合だと説明。以前に、デバイダー法でくねった曲線のフラクタル次元が間違った1以下になってしまったときに、1以下のフラクタル次元になる例として紹介はしてある。フォトニックフラクタルはこれの3次元版であることも述べる。カントール集合の「集合」の示唆するところ・・・点の集合であり、取り除く操作を全て行うと、線分は残っていない・・・に言及した後に、まずは取り除かれる線分の合計の長さを計算。真ん中1/3を取り除くのだから、取り除く前の線分の端点が取り除かれずに残ることは分かるでしょう。では、端点の集合がカントール集合かというと、これはに署名が必要となります。三進数により、取り除かれる点の集合がどうあらわされ、それを通じて端点がどう表せるかを説明。その後、写像f(x)=3x(x<0.1),-3x+x(x>0.5)による定義を紹介。写像よる定義では、区間[01]中の点でxn+1=f(xn)の漸化式によって数列を定義したときに、x0が逃避点になっていないものの集合として定義。逃避点とは、この場合はn→∞でxn→-∞とならないもの。f(x)の固定点x=0,3/4のいずれもが不安定な固定点であることもポイントであろう。三進数で端点の集合として定義したカントール集合(に属する要素)が、この写像f(x)で変換してもカントール集合(に属する要素)である言を示して証明終わり。

イニシエータ・ジェネレータと言葉は、カントール集合についての説明の途中で行った。コッホ曲線の定義をイニシエーター・ジェネレーターを用いて行った後、コッホ曲線の長さを計算。その後、コッホ島を定義して、その周囲の長さと面積を計算。周囲の長さは発散するが、面積は収束する。ペアの曲線は、やる積りはなかったが、イニシエーターとジェネレーターのていぎだけ紹介。

右側の端点の表現が一意でないことは、10進数については直ぐ分かるが、3進数については慣れれいないので・・・という意味の感想を講義終了後に聞けたのは良かった。

講義2 平成29年度 第1回目

2017年6月9日。

今日から講義2(普通の科目名なので、科目名を出しても構わないが、講義1とのバランスで講義2としておく)の開始。今日は1回目。昨年度の記録を見直すのは、役に立つ。昨年度には、出張で2回休講にし、補講を行っている。本年度は、個人的な都合で休講1回となるので、本日に補講について学生と相談して決める。免疫抑制剤服用者なので・・・と言う話の後にするのが効果的かと思う。それに加え、昨年度は研究関連の出張だった、つまり「あなが方は、最先端で活躍している大学教員から講義を受けられる」ことに言及。昨年度は、熱力学は科学リテラシーである、と言うのを述べずに、反省しているので、本日は述べる。補講の時間は決まったが、欠席者が多いのが気掛り。

そのような話の後に講義。教科書を購入していない学生が多数。まず、巨視的なものの見方をする体系だという説明。統計力学が微視的なものの見方をする体系で、原子・分子の微視的な情報を平均して巨視的な量、例えば温度とか圧力とかを求めるものであるのに対し、熱力学は原子・分子に立ち入らない、と言う話をする。教科書に該当のページも板書。巨視的な体系としては、流体力学や弾性論などの連続体の体系があることに言及。毎回のことだが、教科書に該当の項目はない。私が講義をするのだから、というもの。流体力学で扱うのは平衡状態ではなくて、流れのあるもの。

温度とはなにな? それを学ぶのは熱力学の一つの目標です。今まであなた方が習ってきた温度は、経験的温度というものです。厳密な熱力学温度を習います。

教科書を少し戻って、系と外界の話を。まず、系と外界への分離の話を、実験系を引き合いにしてする。その後、系と外界の話を。孤立系から入り、閉鎖系、開放系を説明。

(あなた方がこれから学ぶ)初等熱力学は、平衡状態を対象とする。時間が十分経過して、変化がなくなった状態が平衡状態だが、注意が必要。物体を低温と高温の熱源の間に挟んだ例を挙げ、十分に時間が経過した後に温度分布は変わらなくなるが、これは非平衡定常状態。(定常な)熱流が存在する。熱力学第ゼロ法則の話へ。断熱容器の中に物体A、B,Cと閉じ込めて、AとB、BとCを熱接触させる。十分に時間が経過しすると、状態に変化がなくなる。AとB、BとCが平衡になる。ここで、Bを取り除いてAとBを接触させても、AとCは平衡になっている。化学熱力学では、この推移則の形の第ゼロ法則が出てくる。「温度計で温度を測る」ということに関連して重要性があるから。物体Aを温度計に接触させて温度を測り、次に物体Cを温度計に接触させて温度を測って、同じ温度だったら・・・というような話。実は、十分に時間が経過すると、巨視的には変化のない状態、平衡状態になること自体の方が重要性は高い。動的平衡と言う話をしましょう。液体と気体の平衡を考えましょう。液体からの蒸発と気体からの凝集が釣り合った状態が平衡状態で、平衡状態を微視的に見ると、蒸発と凝集の変化がありますね。巨視的に見ると変化がない、というのが重要なんですが、変化のないような(時空の)スケールが存在するというのが正確です。そのようなスケールの現象に熱力学が適用可能なのです。

推移則の形の第ゼロ法則に基づいて、非平衡定常状態の例の系を考えてみましょう。平衡にある系の部分系は、また平衡にある、とも言えます。定常な温度勾配のある系の一部を取り出して、断熱容器の中に入れたとしましょう。時間と伴に状態は変化しますね。平衡状態ではないことが分かりますね。第ゼロ法則のA~B~Cの系については、部分系が平衡にあるりますね。

理想気体の話を先にしましょう。あなた方が理想気体の状態方程式PV=nRTで知っている温度は気体の体積を尺度にした経験温度です。次に、Rについて22.4l・atm / K・molと習ったことを思い出してください。1気圧・1Kにおいて1molの気体の体積は22.4lと習いましたよね。実は、間違いです。1気圧というのが間違いで、1×10-3などとし、体積を22.4×103などとすれば正しくなります。理想気体は全ての気体が低圧でしたがう漸近的性質で、1気圧は低圧ではないので、理想気体からずれてきます。どのように連れるはは次回に行います。低圧で理想気体に近つくことは、教科書の図○○に示してあります。圧縮率と膨張率は次回にしましょう。

さて、系と外界の関係で分類を行いましたが、今度は熱力学量の分類を行いましょう。温度、圧力・・・と体積、エネルギー・・・について。前者は、同じ系をN個一緒にした合成系を考えた場合、同じ値ですね。それに比べ、後者は合成系ではN倍になります。前者を示強変数、後者を示量変数といいます。熱力学状態量と言った場合は、示強(性)状態量などという言い方が適当になります。熱力学変数に対応したのが、示強変数という言い方ですね。議論を深める上で、この分類は重要になってきます。

講義1(前期開講分) 平成29年度16回目

2017年6月7日。

最終回。試験と講評等。試験は、基礎知識を問うもの(例年通り)。

その後、まず目標1のレポートの講評。TM偏光の場合、垂直入射では振幅反射率が(±)(Z2-Z1)/(Z2+Z1)だったところ、一般の場合(斜入射の場合)Z→Zcosθとなる。これは、斜入射の効果で見かけ上、媒質の特性インピーダンスが小さくなっているように見える、ということ。残念ながら、このような考察は穂と津もなかった。さて、Z=(μ/ε)1/2=(中略)=cμ/n、(中略)Z~1/n、n~1/v、Z~vを書いて、「途中でフレネルの公式の係数が1/nになっているものは、考察せよ(○点+エクストラ加点)の1点の加点を付けています」と言及。講義で、(1/2)εE2=(1/2)μH2が|E|/|H|=(μ/ε)1/2を理解する便法だと述べましたね。電気工学、無線工学で出てくるこのような事項を、物理出身の私が紹介するのは、私が無線のプロの有資格者だからです。この大学の○学部の方には、アマチュア無線のクラブが二つあります。一つは創○○センターので、もう一つは防災のです。防災のは土木の先生が主催されていますが、私もメンバーです。フレネルの公式をやった回の後に教室でその先生に会い「次回かその次に、地震波に関するフレネルの公式をやる」と言われました。私は、フレネルの公式の係数が何かと問いました。波速とのことでした。係数をZ~1/nで書くと、物理的な考察ができるんですね。

次にフーリエ変換の演習についてのコメント。exp(iθ)+exp(-iθ)やexp(iθ)-exp(-iθ)の形が出てきたら、三角関数にまとめられるように。偶関数のフーリエ変換が実数、偶関数のフーリエ変換が偶関数になることはしっていますね。コツとして使うといいです。つまり、[exp(iθ)-exp(-iθ)]/2iのiを忘れたら、実数になるべきものが複素数になってしまうんですね。また、sinθは奇関数ですがsinθ/θは偶関数ですね。sinθ/θ3も関数ですね。分母のθのべきが誤って偶数になってしまったら、これは奇関数ですね。間違えてcosθ/θと書いてしまったら、これは奇関数ですね。間違えていることがわかりますね。

最後に、例年は50点満点の35点位が平均でその回りにばらついているが、本年度は40点位が平均でその回りにばらついているよう、だとコメント。

採点は残っているし、土日を挟んでレポートの締切りとしてあるので、完全に終ったわけではない。しかし、講義が終了したことに少し肩が軽くなった。とはいえ、今週の金曜から講義2が開始となる。また、講義1は後期には、2年生向けに行うことになる。

博士前期課程講義 平成29年度 8回目

2017年6月6日。

8回目の授業は、試験。とはいっても、課題は既に与え、この時間の終了までにレポートを提出するように言ってある。1名を除いて、授業開始時には提出完了。2名は前日に提出済み。その1人は、寝坊をしているらしい。ありがたいことに、同じ研究室の学生が「連絡しておくから」と言ってくれて、学生が教員室までレポートを届けるようにしてくれた。一人のための教室で待つしかないと思っていた。

レポートの出来は、いい。二年前は「単位だけ欲しい」というものが多くあった。

講義1(前期開講分) 平成29年度 15回目

2017年6月1日。

昨日の午後イチの講義1。屈折率楕円体、媒質の光学的異性に関しての分類、結晶系と光学的異方性。偏光素子。これで、試験を残すのみ。

まず、今の異なる媒質中の光波の話が複屈折の話であることは分かりすか、との問い。反応無し。方解石やカルサイトという語をだしても同様。複屈折性媒質で文字とか図が二重に見えるデモンストレーション、見たことないですか? これも反応無し。高校の教科書に写真は載ってましたよね・・・。この辺で限界。

屈折率楕円体の定義は、前回に述べているので、軽く済ます。屈折率楕円体を用いて、主屈折率が既知の媒質中に光波(電磁波)が入射したときに、伝搬方向aが与えられたときに二つの固有モードとそれに対応する屈折率を求めるやり方を説明。今回は、aを原点から描き、aに垂直な平面を作図し、その平面と屈折率楕円体の交線の楕円の長軸と短軸の長さが二つの屈折率になることについて、教科書のそれを説明する式に触れた。

その後は毎回、フレネルの法線方程式の分母を払って、位相速度が二次方程式を解くことによって得られること説明。つまり、屈折率楕円体を使って求めるときに、「二つ」と限定したことを正当化。その後、nx=ny≡no、nz≡neの場合(vx=vy≡vo、vz≡veの場合)に分母を払ったフレネルの法線方程式を解き、常光を異常光の説明を行う。常光線と維持異常光線は、伝搬方向がz方向の場合に一致し、そのような方向を光学軸というと説明。nx=ny≡no、nz≡neの場合は、光学軸は1本で、一軸性と呼ばれる。もちろん、nx、ny、nzのうちの二つが同じで、残りの一つがそれらと異なる、というように一般化している。順番が逆になるがと断って、nx=ny=nzの場合が等方性であることを述べる。説明は省略するが(何でもかでも説明すればいいっていうものではなく、分かった気になっているのを分からない気させるのはしなくてもいい)で、二軸性の説明。

その後、まず正方晶を例に等方性を説明。微視的にx軸とy軸とz軸を入れ替えても構造がかわらなければ、巨視的な性質もそれを反映している。微視的な性質を平均して巨視的な性質を導くときに、微視的な非対称性が消えてしまって、巨視的性質に現れないことはある。これにより、正方晶系の場合にはnx=ny=nzとなり、等方性になる。まず、結晶の単位格子のパラメータa、b、c、α、β、γの説明をし、立方晶がa=b=c、α=β=γ=90°であることを述べる。その後、z軸が光学軸である1軸性になる条件を、x軸とy軸を入れ替えても変わらない結晶構造とのことで、まず正方晶a=b≠c、α=β=γ=90°を説明。z軸(c軸)関して対称とのことで、六方晶と三方晶の横にa=b≠c、α=β=90°、γ=120°とa=b≠c、α=β=90°、γ=60°を書き込む。c軸が底面に垂直で、底面が正方形、正六角形、正三角形の三つの場合、とまず説明。六方晶と三方晶の変換が可能であることも、説明はせずに(軸の定義の仕方とだけ言って)述べる。次は、二軸性ですが、今説明した以外の晶系は全て二軸性になります。それで終了ではなく、微視的な性質を巨視的な性質が反映することから、斜方晶a≠b≠c、α=β=γ=90°の場合に(既に微視的な非対称性を反映してnx≠ny≠nzは説明済)主軸が結晶軸と一致することを説明。他の場合は、必ずしもそのようなことは言えません。

最後に偏光素子。例として、まず偏光状態の変換を挙げる。最初に偏光プリズムを説明。複屈折性媒質を特定の角度に切り出して張り合わせれば、固有偏光を分離できる。教科書の例で済ます。偏光状態を扱う場合にまず直線偏光からスタートでしょう、と(波長板に入る前に)ワイヤーグリッド偏光子の話をする。スタートとなる直線偏光ができました。さて、それをもとに様々な偏光を作りましょう。そのための素子が位相板(移相子)=波長板です。反射・屈折の際の位相変化を考えると教科書のような組み合わせとなりますが、本質は主軸に沿って切り出した複屈折媒質で、振動方向によって屈折率nが異なることです。z軸が光学軸の1軸性媒質をxz面に沿って切り出した(厚みd)ことを考えましょう。軸対象ですのでx軸はy軸でも構いませんし、xy面内でz軸に関して対称なので任意に回転させても構いません。z方向とx方向で屈折率nが異なりますね。光波の進行方向をz方向、それに垂直な主軸方向にx軸とy軸を取りましょう。E||x軸の場合の屈折率をnxE||y軸の場合の屈折率をnyとしましょう。少し計算をしして、Exの初期位相φxとEyの初期位相φyがφx→φx+2πnxd/λ、φy→φy+2πnyd/λと変換され、加わる量が異なることをいう。少し計算して、Δφ≡φyxについてΔφ→Δφ+2πΔnd/λの形の変換となり、例えば直線偏光で二つの固有偏光の間に位相差がないものに対し、dを選べば、円偏光に必要な±π/2の位相差を与えることができる。π/2の位相差は1/4波長に相当するので、このような波長板を1/4波長板と呼ぶ。πの位相差を与える波長板は半波長板。もちろん、二つの偏光成分の振幅が等しくなければ円偏光にはならないから、±40°偏光が円偏光に変換される。半波長板は、右回り円偏光と左回り円変更を互いに変換する。また、θ偏光と-θ偏光を互いに変換する。最後に、進相軸・遅相軸の説明をして終了。

博士前期課程講義 平成29年度 7回目

2017年5月31日。

昨日の午前後半の講義。ImageJを使ったフラクタル解析の実演。乾燥シリカゲルの切断面のフラクタル解析の研究紹介をした後に、大学院生による解析結果の紹介と実演をやってもらいました。実演をしてくれた院生は、レポート免除です。

私自身の研究紹介には二つのポイントがあります。その一つは、フラクタル解析を行った目的に関するものなので、シークレット。もう一つは、ImageJのボックスカウント法のツールを使う前に、画像の二値化が必要なこと。二値化のThreshold値を変更すると、異なる二値化画像となる。従って、ボックスカウントの結果も異なる。ボックスカウントの両対数プロットのフィッテングのR2値が二値化のThreshold値によって異なる。紹介したデータの場合は、二つのThreshold値の差を大きくするとR2値が1に近づく結果であった。しかし、これについては、R2値がある値より大きかったらよしとなければきりがない。

さて、講義中に行った粘性指の画像、海岸線の航空写真、自身の研究の材料の写真(結晶成長の写真)の解析を大学院生がやってくれた。最初は、初期設定のThreshold値で二値化し、ボックスカウントを行った結果の紹介。実演もしてくれた。一通り終ってから、粘性指の画像について二値化のThreshold値を変えると、二値化の結果が異なることをやってもらった。そして、輪郭部分を抽出するThreshold値では、あらかじめ解析して来てくれたものよりも小さなフラクタル次元の値になることを実演してもらった。もちろん、データが一次元に近くなるので当たり前。

院生から、海岸線のフラクタル次元は1.1から1.3くらになるといわれているのに、大きな値になってしまった、とのコメントがあった。二値化画像が二次元に近いものなので、その程度の大きな値になるのは自然で、海岸線だけを抽出するThreshold値で二値化すれば、1に近い値となるはずとの回答を返した。また、以前にデバイダー法の解析をしてももらったときに私が海岸線の図に比べ今回の海岸線は複雑さが少ないように見える。従って、以前のものは1.3に近いフラクタル次元になったのに対し、今回のものは1.1に近い値になるのではないか、とも加えた。その後海岸線を抽出するThreshold値を見つける作業を少ししてもらったが、うまくいかななかったので、これはやめた。ImageJの他の画像処理の機能について少し話、それを使って解決することもやろうとしたが、適当なものを見つけられなかった。そこで、再び粘性指の画像の二値化をやり直してもらい、Threshold値によって輪郭だけを抽出できそうなことを納得してもらった。ついでに、輪郭だけを抽出しようとしても内部に「点」が残る場合、手動でそれを消すのも有効で、今の二値化画像がその典型ですと、補足。

講義1(前期開講分) 平成29年度14回目

2017年5月29日。

本日の午後イチの講義。まず、午前中に昨年度の記録(ブログ)を確認する。フレネルの法線方程式までで終ることは、確認するまでもない。直交するベクトルについての「トリプレット」と言う語を、昨年度はここで紹介したんだ。今年度は済なので、それを認識した話し方にしよう。

まずは異方性とは、と言う話。DEの係数が電場の方向によって異なる例を、異方性分子系を例にとって行う。その後、電磁場のエネルギー保存の式に基づいて、誘電率テンソルが対象テンソルであることを説明する。これは、異方媒中の光波・電磁波の性質ではなく、媒質の性質。

その後、フレネルの法線方程式に入る訳だが、間に1ステップ入る。例年と同じ。εがテンソルで、μがスカラーの場合、電荷密度と電流密度がゼロのときのマクスウェル方程式を書き換えて、異方性媒質中の光波の振舞いを調べる。aを伝搬方向の単位ベクトル(波面法線の単位ベクトル=等位相面の伝搬方向の単位ベクトル)として、D=(n2/μc2)[E-a(aE]=(n2/μc2)E>sub>⊥が出てくる。これは、等方性媒質の場合は、TEM波の条件は、方向に関して、(E,H,a)のあだにトリプレットの関係が成り立ったが、異方性媒質の場合は、もはやDEは平行でないから、それを区別した厳密なものにしなければならない。DH⊥aに置き換わる。波面法線方向aとエネルギーの伝搬方向(ポインティングベクトル方向の単位ベクトル)が異なることも述べるこの式をもとに、フレネルの法線方程式に至る。フレネルの法線方程式の意味は、主伝搬速度vx,vy,vzが既知の媒質に伝搬方向がaの光波(電磁波)が入射したときの位相速度vpを求める形になっているが、主屈折率nx,ny,nzが既知の媒質中の光波の屈折率nをaが与えれたときに与えるものでもある。

次回の予告。「主屈折率nx,ny,nzが既知の媒質中の光波の屈折率nをaが与えれたときに与える」方法に、屈折率楕円体を使った方法がある。教科書では、誘電率楕円体となっているが、定義式の分母を主屈折率で置き換えることができ、その場合に屈折率楕円体の語が使われます。尚、これは常識的に知っているべき事項なので、何らかの形で毎回試験に出しています。